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​泥の夢
年月 : 2024.8
寸法 : 可変/W10000×D5000×H500(mm)
素材 : 泥・植物(全ての素材は六甲山周辺で採取)
技法 : 輪積み
制作 : 蒲原 凪・田羅 義史・村田 優大
写真 : Kazuo Yoshida

神戸六甲ミーツ・アート2024beyond出展作品 六甲山観光賞​受賞
アーティストページURL https://rokkomeetsart.jp/artist/kamaharataramurata/


六甲山周辺で採取した泥や土でつくられた舟。

「船頭多くして船山に上り全ては巡る」という故事成語の続きとして、海ではなく山を登り、ついには六甲おろしの風に吹かれて空へと飛んでいきそうな不思議な情景を描き出します。泥舟が徐々に崩れ自然に還っていく様子は、自然の循環に生きた縄文時代や、かつて海だったころの地層の記憶を感じさせます。

「縄文海進」と呼ばれる水面が5m高く平均気温が2度上がる現象など多くの困難に直面しており、現代と同等に激動の時代でした。​そんな時代を乗り越えたした縄文人の生きるエネルギー、創造性などを現代に再構築する「ネオ縄文」を掲げ、6隻の泥舟をつくりました。

舟である理由は六甲山は100年前までは海であり、六甲変動という大きな地殻変動によって作られた山としての分脈から舟を選びました。また、かつてここにあったかもしれない縄文人の痕跡も描いています。

神戸含め関西地方は縄文土器の出土が少なく、その背景に厳しい自然環境のため旅や移動を繰り返して生活していたと言われています。彼らの生活や命が自然に還ったように、本作も移動や旅のモチーフである舟をあえて焼かずに徐々に風化させることで、自然の循環を表現しています。

​制作にあたって全員が全ての制作プロセスを受け持ちながらそれぞれの得意を活かし縄文の価値観で大切にされてきた協業をしながら取り組みました。

大企業のデザイナーとして務めるかたわら、本作が初のアート制作で「ネオ縄文」の概念を提唱し作品の企画やデザインを主に担当した蒲原 凪ん(写真中央)

土を用いた作品を制作し続けている横浜美術大学で助手として一緒に働く村田 優大さん(写真右側)と共に泥舟制作チームを組みました。

​村田さんは土の選定から、3ヶ月の屋外展示に耐える強度を出すための制作手法や泥の扱い方を、蒲原さんはデザイナーとして歴史・人文学的リサーチや採集舟の装飾を担当。

私は、道具や素材をテーマにしていることから舟をモチーフとすることや六甲の地質的な分脈からの企画し、装飾に用いる道具の制作やマツヤニを用いて作品の​耐久性を高めるなど素材としての可能性を追求しました。

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